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大阪地方裁判所 昭和62年(ヨ)4466号 決定 1988年10月07日

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別紙当事者目録記載のとおり

主文

一  申請人らの申請はいずれもこれを却下する。

二  申請費用は申請人らの負担とする。

理由

第一当事者の申立

一  申請の趣旨

1  申請人らが被申請人の従業員であって、毎年一二月三一日から一月三日までの間及び新幹線毎保守間合取消日以外の日につき、被申請人が申請人らの就労を拒否した場合において、右就労拒否が民法第五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ履行ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキ」に該当するときは右就労拒否日につき申請人らが賃金請求権を失わず、また右就労拒否が労働基準法第二六条の「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」に該当するときは右就労拒否日につき同条の休業手当金請求権を取得する地位にあることを仮に定める。

2  被申請人は、申請人らに対し、それぞれ別紙請求金額一覧表中の請求金額欄記載の金員を仮に支払え。

3  申請費用は被申請人の負担とする。

二  申請の趣旨に対する答弁

主文一、二項と同旨

第二当裁判所の判断

一  当事者等

当事者間に争いのない事実及び本件疎明資料によれば、以下の事実が一応認められる。

1  被申請人は、昭和二四年八月に、日本国有鉄道(以下、「国鉄」という。)に連絡している公社、会社の専用線の新設及び保守並びにこれらの諸手続きを専用線所有者に代行することを業務内容として発足し、その後の輸送環境の変化、国鉄の線路保守の外注化に伴って、国鉄そして分割民営後のJRの線路の新設、改良、保守の工事などを主たる業務とするようになった資本金四五〇〇万円の株式会社であって、本社は頭書肩書所在地に在り、滋賀県栗太郡栗東町手原など近畿一円九箇所に、現場機関である出張所、作業所等を配置し、それぞれの地区の業務を携わさせている。

2  申請人谷本一信は昭和五一年一一月から、同木村光助は昭和四九年五月から、同森田勉は昭和四三年七月から、同谷本一雄は昭和四八年一月から、同下本盛男は昭和四八年一月から、同谷本文夫は昭和四九年六月から、同小森達男は昭和四六年四月から、同小森新太郎は昭和四五年七月から、いずれも、現場の作業員として、滋賀県栗太郡栗東町手原所在の被申請人の手原出張所(以下、「手原出張所」という。)に継続して勤務し、同作業所が受け持つ新幹線の軌道保守工事、すなわち、道床更換、レール更換等の線路を閉鎖して行ういわゆる閉鎖工事と、軌道面の凹凸等の修正、道床整備等の線路を閉鎖しないで行ういわゆる軌道整備工事に従事してきた。

3  申請人らの勤務時間は、昼勤が午前九時から午後五時まで、夜勤が午後一〇時から翌朝午前五時までであり、夜勤昼勤の一方あるいは双方の作業に従事することができたところ、軌道保守工事は列車の通らない夜間に行われることから夜勤の作業が中心となり、昼間に行われるのは夜間の作業の跡作業や準備作業といったものと、昼間に施行できる法面除草、材料整理、他業者が施工する道床更換工事のためのバラスト積み込み等の作業にすぎないことから、申請人らは、夜勤作業を中心に就労していた。

4  申請人らは、昭和六二年一〇月三一日以降、被申請人において、申請人らに対し、年末年始の休業もしくは新幹線柵内立入禁止指定日のため夜勤作業ができない日でないにもかかわらず、あらかじめ、夜勤作業はない旨通知しあるいは夜勤作業就労者を限定指名したことから、夜勤作業に就労する意思があったにもかかわらず、申請人らの主張にかかる別紙就労拒否日一覧表(一)~(七)(以下、単に「就労拒否日一覧表」という。)記載のとおり、夜勤の就労ができなかった。

二  申請人らと被申請人との間の雇用関係について

申請人らは、被申請人との雇用関係につき、期間の定めのない継続的労働契約に基づくものであると主張し、右主張に基づき、夜勤就労できなかったのは被申請人がその責に帰すべき事由により申請人らの就労を拒否したからであるとして、申請人らは賃金請求権を失わないあるいは労働基準法所定の休業手当金請求権を取得する地位にあるとしてその地位の保全を求め、また、被申請人が昭和六二年一〇月三一日以降別紙就労拒否日一覧表記載のとおり、申請人らの就労を拒否したとし、右就労拒否は民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」に当たるのであって、申請人らは右全夜勤就労拒否日に対応する日につき賃金請求権を失うことはないとして、その仮払いを求めている。

これに対し、被申請人は、申請人と被申請人との間の雇用関係について、日々雇い入れの、現実に就労する日ごとの労働契約に基づくものであるとの、仮にしからずとしても、現実に作業のない日は所定の休日であるとの内容の労働契約に基づくものであるとの主張をなし、右主張に基づき、申請人らの申請はいずれも被保全権利を欠くものであるとして、各申請の却下を求めている。

そこで、まず、申請人と被申請人との間の雇用関係について判断する。

1  当事者間に争いのない事実及び本件疎明資料によれば、以下の事実が一応認められる。

(一) 被申請人の業務量の大部分を占めるのは、従来は国鉄、現在はJRから発注される軌道保守工事であるところ、保線業務は、線路を構成している材料の種類及び経年、その上を走る列車の速度や車両の構造変化等の技術的要因、天候や季節等の自然的要因、発注者の経営方針の変更等の人為的要因等の諸要因の影響を受けやすく、加えて受注形態が指名競争入札であるという供給の不安定性もあって、その業務量が大きく変動し、日ごとに行う作業の有無、作業の種類、量が異なるという特殊性を有している。被申請人は、日々変動する作業量等に対応してその業務を遂行するために、専ら事務職及び技術職を遂行することが職務である九〇余名の職員とは別に、現場における保線労務作業のみに従事する作業員(以下、単に「作業員」という。)という従業員制度を設け、いわば二本立ての従業員構成をとってきた。

(二) 作業員の採用は各現場機関の責任者に任されており、その手続きは、紹介者を介して保線労務に従事する作業員として働きたい旨申入れがあれば、被申請人の現場機関の責任者である所長ないしその命を受けたものが申込者と面接し、面接担当者において、生年月日、住所、家族構成等を確認し、略歴、健康状態、連絡方法等につき聴取し、賃金、勤務時間等の勤務条件の概略及び、「仕事の切れることがあり、仕事のある日のみ働いてもらうことになるがそれでいいか。」との説明を行った後、これらの点につき了承を得たうえ、所長において、申込者が保線の現場作業に耐えうると判断したときはその現場機関における作業員として採用することとし、その者に対し採用するから作業に出て来るようにと告げるというかたちをとる。申請人らは、いずれも、右採用手続きを経て、被申請人手原出張所の作業員として保線業務に従事することとなった。

(三) 被申請人手原出張所においては、新たに採用した作業員につき、直ちに手原出張所の作業員として名簿に登録し、その者につき、名札、出勤カードを作成し、就労要請の便宜のために編成した班への組み入れを行う。被申請人は、申請人らについても右の手続きを行った。

(四) 被申請人は、日々の作業量に変動があることと、採用となった作業員は、農業等の家業を持つ者もあることなどから、被申請人からの就労要請に対しこれを受けた作業員が全員必ず応じるということは期待できなかったことから、作業員に就労を要請するにつき当初から以下のような手順によっていた。すなわち、被申請人は、夜勤については、その日の作業量に応じて、前日の夜勤作業の終了点呼時までに、就労要請の便宜のために編成された班のうち、いくつかを指定することにより当該班員に対し明示の、また、特に班の指定をしなかったときは全作業員に対し黙示の就労要請をなすこととし(なお、変更ができない閉鎖工事等が予定されている場合はあらためて事前に各人に電話連絡して明示の就労要請と就労意思の確認をなしていた。)、これに対して、作業員は右就労要請に応じないこともできるが、その日の夜勤作業に就く意思のある作業員は、勤務時間開始までに手原出張所の点呼場に出向き、同所の机に並べてある出勤カードを被申請人の職員に提出し、同所の壁に設置してある名札板に掲げてある自己の名札を裏返すことにより被申請人に対し就労の要請に応じる旨の意思を表明することとし、被申請人担当職員において、出勤カードにより就労要請に応じた者を確認し、裏返された名札に基づき、作業計画を組み直し出勤者を実際に作業する班に組み分け、始業の際の点呼において、右の内容を作業員に指示し、各作業員は、右指示に従って当夜の勤務に就くという手順である(ただし、被申請人は昭和六二年一一月以降、夜勤の就労要請につき限定指名方式を取るようになった。)。

なお、昼勤については、作業が予定される場合には、全作業員に公平に割り当るという個別方式により就労を要請していたが、応じる者と応じない者とが別れたため、昭和五八年頃からは、班長を指定して、その班長に作業内容、必要人員を指示して、人選を任せるという一括方式により就労を要請するようになった。

(五) 申請人らは、それぞれ、採用後、約一二年間ないし一八年間にわたり、前記手順に従って日々就労してきた。手原出張所における作業員の数は、多少の変動はあったものの昭和六一年暮れころまでは約五〇名ほどの水準を維持していた。

(六) 手原出張所における作業員の就労状況をみると、実際に就労した者の就労要請をした者に対する割合は概ね七割から八割程度であり、個別にみると、昼勤は全く行わない者がいたほか、夜勤についても、一か月ほとんど毎日のように就労する者から一か月まるまる出てこない者まであって、作業員ごとの就労実数に大きなばらつきがあった。また同一作業員でも各月により就労実数に変動があった。被申請人は、個々の就労要請に対して作業員が応じなかったことをもってその者に対し苦情をいうこともなく(ただし事前に電話で個別に就労意思を確認したにもかかわらず連絡なしで就労しなかった場合は例外)、そのことをもって処分をするなど積極的に不利益な取り扱いをすることはなかった。

(七) 作業員の賃金については、被申請人との間に賃金規定等による取り決めはなされていないが、日給制で、昼勤のみ、夜勤のみ、昼勤ののち夜勤もするという各就労パターンに応じ、各人ごとに単価が決まっており、それに基づいて計算されるのであるが、その支払い方法は、日払い制ではなく、毎月一五日締めの二〇日払い及び月末締めの五日払いというかたちがとられている。右単価については、被申請人は、毎年、各作業員の経験年数等を考慮して一方的にこれを定めている。

そのほかに申請人谷本一信、同木村光助、同森田勉、同谷本文夫については、軌道工事管理者等の資格を有しており作業班の班長になりうることから、班長の役割を果したときはそのことに対し各人につき定められた単価が決まっており、班長の役割を果した回数を乗じた額が半月毎に支給され、さらに、これとは別に班長の役割を果した回数とは関係なく一月ごとに支給される資格手当が設けられていて、その額は、昭和六三年は、申請人谷本一信六五〇〇円、同木村光助五〇〇円、同森田勉六〇〇〇円、同谷本文夫八〇〇〇円である。

軌道工事管理者等の資格は、被申請人の勧めにより、作業員が被申請人から日当を受けて講習に参加するなどして取得するものであり、資格認定書の所属会社名欄には被申請人の社名が記載されている(作業員が被申請人以外の業者の下で働くときに資格を行使するためには所属会社名の変更を要する。)。

(八) 作業員についても、昭和六一年から、年次有給休暇の制度が設けられることとなり、申請人谷本一雄を除く申請人らはその適用により有給休暇を与えられている。なお、作業員には退職金は支給されない。

作業員は「全日本土木建築国民健康組合」を保険者とする健康保険の組合員であるところ、申請人谷本一信、同谷本文夫については、その被保険者資格が昭和六一年以降、現場の日雇労務者が対象である第二種組合員から、現場の基幹労務者等が対象である第一種組合員に切り替えられた。

遠方からの出稼ぎの作業員に対しては、被申請人は無料の飯場を居住所として提供しており申請人谷本一信、同谷本一雄、同下本盛男は同飯場に居住している。

(九) 被申請人における職員とは長期雇用を前提とする従業員であり、作業員とは以下のとおり差異がある。職員の採用にあたっては、保証人を立てさせ、自筆履歴書等の必要書類の提出を求めるといった厳格な手続きをとり、長期雇用するにふさわしいかどうかを人物、経歴、健康等の観点から総合的に判断して採否を決定し、採用と決まると、辞令が交付されて、採用年月日、職名、勤務箇所、給与額等が明らかにされ、研修が実施される。職員には、昇格制度が設けられており、就職期間中異動発令を伴うのが通例であり、出向制度も規定されている。服務規定は厳格に定められており、休職、復職の制度がある。給与は月給制で昇給制度があり、それらは給与規則に定められている。賞与は、賞与支給内において対象期間が明示されており、年次有給休暇のほか各種の特別休暇の制度、永年勤続表彰、定年制、退職金の制度が定められている。

2  右に認定した諸事実、殊に、作業員制度は、業務量の変動が大きく、日々の作業量が異なるという保線業務に必然的に伴う特殊性に対応するため、右特殊性にあわせて被申請人が採用した雇用形態であること、作業員採用手続及び採用後の作業員の待遇は、賃金、人事、休職、解雇、教育訓練、定年制等の各面において、期間の定めのない継続的労働契約関係にある職員のそれとの間には顕著な差異がみられること、申請人らを含む作業員の就労の頻度には各人ごとに大きなばらつきがあり、同一人でも時期ごと変動があるという実際の勤務の状況及び被申請人が作業員の不就労をもって不利益な取り扱いをしたことがないこと、右の事態は被申請人の労務管理の不備というよりも作業員が被申請人からの個々の就労要請につきいわば諾否の自由を有していることの反映であると考えられること、一旦採用になれば作業員は被申請人において登録され、被申請人からほぼ連続的に明示又は黙示の就労要請を受けることになること、作業員の勤務年数は概ね長期にわたり、申請人らをみても短い者でも約一二年という長きにわたっていること、申請人らのうち軌道工事管理者等の資格を有している者には右資格を行使して就労した回数とは無関係に月々一定の資格手当が支給されていること等の諸事実を総合すれば、申請人、被申請人間には、申請人らの採用申し込み、これを受けての被申請人による採用する旨の告知、作業員としての登録という合意によって、両者間に、被申請人は、受注した軌道保守工事については、作業規模、内容等からみて、登録した作業員(申請人らを含む。)に、同工事の作業をさせることが相当でないと認められる合理的事由のある場合を除き、原則として、申請人らに対し、登録した他の作業員と公平に、当該作業への就労要請をなすべき義務が発生し、他方、申請人らは、右就労要請について諾否の自由を有するという、労働契約関係が設定され、その後、被申請人による個別の就労依頼とそれに対する申請人らの応諾によって、それに従って個別的、具体的な就労義務と就労に対する賃金請求権の有無が定まるという、いわば特殊な期間の定めのない労働契約(以下、「本件労働契約」という。)が締結されたものと解するのが相当である(被申請人の右就労要請義務が契約上の義務である以上、その違反事実が発生すれば、一般原則に従って、義務違反に伴う責任追及のなされることはいうまでもない。)。

なお、本件疎明資料によれば、被申請人手原出張所点呼場には一時期「作業員就業規則」が吊り下げられており、右就業規則には、別紙作業員就業規則記載のとおり、服務規程や、休日、休暇に関する規程、給与規程、解雇事由、解雇制限、解雇予告手当等の退職に関する規程、日々雇い入れる作業員の平均賃金の算定方法等の定めが記載されていたことが一応認められる。右事実によれば、被申請人の作業員就業規則の内容は、本件労働契約と異なっていることが明らかであるが、他方、本件疎明資料によれば、右就業規則は、被申請人が昭和四九年にじん肺問題で大津労働基準監督署から事情聴取された際、就業規則の作成届出がなされていないことを指摘され、右じん肺問題もあったので、急遽、他業種のものをそのまま写すかたちで、職員の就業規則とは別の「作業員就業規則」を作成し、労働基準監督署長に届け出たものであって、被申請人は、右届出にあたって、作業員らにその内容を説明し意見を求めることをせず、一方的に一名の作業員を指名し、形式的に作業員代表者として届け出書に記入捺印させたにとどまり、その後も、作業員に対し、右就業規則の存在、内容を周知させることはしなかったことが一応認められるところであって、右就業規則の作成目的、その経緯に鑑みると、右就業規則は、申請人らと被申請人との間の雇用契約の内容となっているものと解することはできない。したがって、右就業規則の存在も、前記認定を左右するものではない。また、当事者間に争いのない事実及び本件疎明資料によれば、被申請人は、作業員に対し、少額ではあるが、毎年夏と冬の二回、全員に一律の一時金を支給していたことが一応認められるが、本件労働契約の内容からすると、右一時金が支給されたとしても何ら異とするに足りないから、右事実も前記認定を覆すに足りない。

三  地位保全の仮処分について

申請人らは、同人らと被申請人との雇用契約が期間の定めのない継続的労働契約であるとして、期間の定めのない継続的労働契約における地位にあることの賃金請求権の側面における保全を求めて前記申請の趣旨1項に掲げる内容の裁判を求めているところ、申請人ら、被申請人間の雇用契約の内容は、前認定のとおりであるから、申請人らの右申請はその前提を欠くものであって、その被保全権利が認められないから、その余の点について判断するまでもなく理由がない(なお、本件審尋の全趣旨によれば、申請人らは、その主張にかかる労働契約に基づく地位保全の仮処分以外に、本件労働契約に基づくような地位保全の仮処分を求める趣旨でないことは明らかである。)。

四  賃金仮払い仮処分について

申請人らは、申請の趣旨1項記載の労働契約の存在を前提に、別紙就労拒否日一覧表記載のとおり夜勤就労できなかったが、右就労不能は被申請人の責めに帰すべき就労拒否によるものであって別紙就労拒否日一覧表記載の日に対応する賃金請求権を失わないとしてその仮払いを求めているところ、その主張にかかる労働契約が存在しないことは前認定のとおりであるから、右賃金請求権はその前提を欠き理由がないことが明らかであるうえに、本件疎明資料によれば、申請人らが別紙就労拒否日一覧表記載のとおり夜勤就労できなかったことは一応認められるものの、前記のごとく、申請人らの賃金請求権は、被申請人の個別の就労依頼とそれに対する各申請人の承諾があって初めて具体的な就労義務が発生しこれに基づいて現実に就労した場合にはじめて発生するものであると解する以上、現実に被申請人からの就労依頼がないときは、就労義務が発生せず、就労義務に応じた賃金請求権は発生しないものといわざるをえないのであるから、この点からも、申請人らは別紙就労拒否日一覧表記載の日に対応する賃金請求権を有していないものというべく、賃金仮払いの申請は、その余について判断するまでもなく、被保全権利を欠くものといわなければならない。

五  結論

以上の次第であって、申請人らの本件各申請は、いずれも被保全権利を欠くものであるから理由がなく却下することとし、申請費用の負担について民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 田畑豊 裁判官 田中澄夫 裁判官 斎藤大巳)

当事者目録

申請人 谷本一信

申請人 木村光助

申請人 森田勉

申請人 下本盛男

申請人 谷本一雄

申請人 谷本文夫

申請人 小森達男

申請人 小森新太郎

右申請人ら訴訟代理人弁護士 西川雅偉

右同 三上隆

右同 里見和夫

右同 高野嘉雄

右同 後藤貞人

右同 中道武美

右同 下村忠利

右同 北本修二

右同 菊池逸雄

右同 近森土雄

被申請人 大阪施設工業株式会社

右代表者代表取締役 大西璋

右被申請人訴訟代理人弁護士 俵正市

右同 坂口行洋

右同 重宗次郎

右同 苅野年彦

右同 草野功一

右同 寺内則雄

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